《四月十六日》印南野にあつまる風や麦青む

〈青麥や沙翁は遠き國のひと〉が句会に出たとき、裕明は自句の説明として「沙翁はシェークスピアです」と答えていた。

思い出したのが、小学校四年生の時のこと。担任の先生が突然「ハムレット」を読み聞かせしてくれた。最初は面白くなかったがだんだん引きこまれ、仕舞には待ち遠しくなった。シェークスピアの作品を小学生の中学年に読み聞かせをすることに驚く。素晴らしい教師との出会いだった。

●季語=青麦(春)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

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バックナンバー

  • 4月30日:茶摘女の気にいつてゐる木下かな
  • 4月29日:指につくナンの油や昭和の日
  • 4月28日:鉄板にふくるるソース小米花
  • 4月27日:月光のからりと水口祭かな
  • 4月26日:紙で切る真直ぐな傷苗代寒
  • 4月25日:山吹の花をかすめし柩かな
  • 4月24日:裏戸より見ゆる表戸豆の花
  • 4月23日:古草や香気の強き寺厠
  • 4月22日:春の蚊の仏の顔でありしかな
  • 4月21日:風船の上がればみんな顔上げる
  • 4月20日:春愁のダックスフントてふ歩み
  • 4月19日:初蝶の気に入つてゐる高さかな
  • 4月18日:春風や本を飛び出すショベルカー
  • 4月17日:諸葛菜水音のみの一日ぞ
  • 4月16日:印南野にあつまる風や麦青む
  • 4月15日:鉛筆の4Bの文字鳥の恋
  • 4月14日:カーテンを嫌がつてゐるシクラメン
  • 4月13日:封あまき文届きたる啄木忌
  • 4月12日:ハモニカの真四角な穴春の海
  • 4月11日:神殿へ向ふごとくに蝌蚪の群
  • 4月10日:白濁の青年歩む花の昼
  • 4月9日:山は花兎と亀の話かな
  • 4月8日:
  • 4月7日:春月や口づけ鹹いではないか
  • 4月6日:ぎこちなく木蓮の花落ちてゆく
  • 4月5日:裏返す田の土黒き春祭
  • 4月4日:魚の尾のぱらり焦げたる桃の花
  • 4月3日:初花へポップコーンを抱いて来る
  • 4月2日:春日浴ぶ椅子にシートン動物記
  • 4月1日:仁丹の髭の男や街長閑

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