「青」の爽波が書いた「選後に」が面白い。昭和五十五年八月号では茶摘の句を三句取り上げ、季語を田植と置き換えた時の違いがわかれば「写生」を本当に理解していると断言している。三句紹介しよう。
立ち出でし茶摘女はみな顔つつみ 明石文子
茶摘女の片袖ばかり汚れをり 木村文子
寝起きの子連れて茶摘に遅れくる 大西晶子
さて、どうか。
●季語=薄暑(夏)
著者略歴
山口昭男(やまぐち・あきお)
1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。
「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞)
『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
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