《五月十一日》あてどなく軍鶏走り出す祭かな

「青」の六十年代、七十年代は宇佐美魚目、大峯あきらがたびたび対談をしている。一九七〇年三月号では吉本伊知朗の〈風の黍たしかに老いて高処ゆく〉について。あきらが「『たしか』がいい。『黍嵐』じゃ全然だめだね」と言い、「そりゃいかん。・・・・・・しっかりとおさまってと云う感じ、心の中へためてもう一回つぶやいている。深い呼吸だな」と魚目。

テンポのよい受け応えが続く。

●季語=祭(夏)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

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バックナンバー

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  • 5月21日:惜別やさやゑんどうを山と盛る
  • 5月20日:波の来る時間の長しかたつむり
  • 5月19日:蕗の葉をはさみし鶏舎の扉かな
  • 5月18日:護謨毬の臍の弾力芥子の花
  • 5月17日:筍の緑尖つてゐたりけり
  • 5月16日:地下足袋の底の飴色桐の花
  • 5月15日:孑孒の呪文のような浮沈かな
  • 5月14日:緑青の龍の肌や風若葉
  • 5月13日:新緑の浮御堂より僧二人
  • 5月12日:座布団ではたく座布団松落葉
  • 5月11日:あてどなく軍鶏走り出す祭かな
  • 5月10日:虹色の油紋浮かせし袋角
  • 5月9日:手にのせて叩く干物若楓
  • 5月8日:虫呻る大きな音も薄暑かな
  • 5月7日:薔薇色の獣の舌や更衣
  • 5月6日:二三本のせては菖蒲湯と言うて
  • 5月5日:丸き石まるく濡れゆく端午かな
  • 5月4日:葉桜や体ゆすれば水の音
  • 5月3日:をととひの白とは違ふ白牡丹
  • 5月2日:玄関に蟹の来てゐる五月かな
  • 5月1日:天心にわきたつ雨や夏淋し

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