《七月四日》海草の強きむらさき雲の峰

雲の峰が湧くころになると水が恋しくなる。小学校にはプールがなかったので、川を使った。梅雨明けごろから親たちが川を堰き止め、川底をきれいに整えて泳げるようにしてくれていた。ただ、泳ぎ終わって家へ帰るためには暑い中急坂を歩かなければならない。いつの間にか川通いもしなくなった。

●季語=雲の峰(夏)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

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バックナンバー

  • 7月6日:瀧茶屋の暗さ瀧道の暗さかな
  • 7月5日:厳めしき館の日除古めかし
  • 7月4日:海草の強きむらさき雲の峰
  • 7月3日:合歓咲いてまつたりかわく湯殿かな
  • 7月2日:消極も積極も居り眠草
  • 7月1日:根を見せて流るる草や半夏生

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