《九月二十一日》石段のはじめ露草ばかりかな
〈卒業しプレイガイドに並びをり 佐野疎竹〉〈入学や肉屋コロッケ揚げてをり 田原峯子〉の二句に対して「この二句が分らぬ、面白く思わずという人たちは季語のもつ『固定観念』から抜けられずに惰性的な句作りの波間に身を委ねている人と云えよう」（一九八七年「青」七月号）と爽波は「選後に」で述べる。季語の固定観念を破りたいものだ。
●季語=露草（秋）
著者略歴
１９５５年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』（第６９回読売文学賞） 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト１００ 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
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