裕明の後援会での評は、端的で厳しかった。例えば〈極月の米屋に長き影法師 昭男〉に対しては「上五下五の言葉が衝突しています」。〈コンパスのくるりと水鳥の飛ぶよ 昭男〉には「コンパスにも水鳥にも装飾しようという意図が強すぎます」であった。二〇〇二年の一月の言葉。ここから裕明とのやり取りが始まる。
●季語=茎漬(冬)
著者略歴
山口昭男(やまぐち・あきお)
1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。
「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞)
『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
無断転載・複製禁止