爽波が常に言葉としていたことに「俳句という詩は読み手に察してもらう詩である」ということだった。例えば次の句。
〈花筵並べ水鳥羽撃けり 人西照子〉一九七九年「青」七月号の作品。この句には静と動があり、今とこれからがあると言う。昼の花時のこれからをこの句から見てとるべきだと締めくくっている。
●季語=枇杷の花(冬)
著者略歴
山口昭男(やまぐち・あきお)
1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。
「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞)
『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
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