《十二月二十三日》揺籠の籐のつやめき枇杷の花

爽波が常に言葉としていたことに「俳句という詩は読み手に察してもらう詩である」ということだった。例えば次の句。

〈花筵並べ水鳥羽撃けり 人西照子〉一九七九年「青」七月号の作品。この句には静と動があり、今とこれからがあると言う。昼の花時のこれからをこの句から見てとるべきだと締めくくっている。

●季語=枇杷の花(冬)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

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バックナンバー

  • 12月23日:揺籠の籐のつやめき枇杷の花
  • 12月22日:どこ座つても隙間風あるにはある
  • 12月21日:風景を消して見てゐる毛糸編
  • 12月20日:逆光を歩いて来るはインバネス
  • 12月19日:軍人の緑の服よ水洟よ
  • 12月18日:ぴつたりと闇のはりつく焚火かな
  • 12月17日:新聞のチラシを歩く冬の蠅
  • 12月16日:牡蠣船の灯りまみれとなつてをり
  • 12月15日:笑みたまる長須鯨の眦に
  • 12月14日:真白な和紙に天婦羅山眠る
  • 12月13日:枝先にたまる雨粒玉子酒
  • 12月12日:轟轟と火の音見せて焼藷屋
  • 12月11日:白菜を切りたる音の不敵なり
  • 12月10日:冬ざれや肌に泡ふくオキシフル
  • 12月9日:払つても払つても虫漱石忌
  • 12月8日:寒林を出て道の声舟の声
  • 12月7日:気がつけば君より白き息であり
  • 12月6日:ことごとく鏡に映る寒さかな
  • 12月5日:初雪のまことに空のにほひかな
  • 12月4日:鳰寝ねたる水を起こしたる
  • 12月3日:水鳥のまぶしきまでにふえてをり
  • 12月2日:顔見世へ橋一本を渡りゆく
  • 12月1日:梟の如く女を待つてゐる

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