《十二月十日(火)》霧島山見つつ来て山に腰掛ける弥五郎どんに会はずに帰る
第三回曽於やごろう短歌大賞の大会と授賞式があり、日曜日は鹿児島県曽於市の末吉中央公民館へ行ってきた。選考委員は外前田孝さん、桜川冴子さん、森山良太さんと私で四人とも九州の歌人。「弥五郎どん」は、宮崎にも鹿児島にも伝承がのこる伝説の巨人。山に腰掛け、海で顔を洗うほどの大男で、村人を助けたり時にいたずらしたりもしていたようだ。地元では、弥五郎どんのモデルになったのは権力に抵抗した人々のリーダーだったという説がある。
著者略歴
大口玲子(おおぐち・りょうこ)
1969年東京都大田区生まれ。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第四十四回角川短歌賞受賞。
歌集に『海量』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』、『桜の木にのぼる人』、『ザベリオ』、『自由』、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』『神のパズル』がある。「心の花」会員。宮崎日日新聞「宮日文芸」短歌欄選者。牧水・短歌甲子園審査員。
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