
《二月三日》風船の影なきままに風の骨
空に棲む時間という名の深空魚。その体表から剥がれ落ちた文字が、ひとつ、またひとつ、結ばれあって雲となり、流れていく。雲が空に吸い込まれるたび、わたしの心にも小さな穴があく。それは、埋まるでもなく、ただそこにある。しんとして、触れることのできない、名のない穴。その宝物をなくしてしまうのがいやだ。理由を訊かれても、答える言葉が見つからない。ただ、そういうものだと思ってほしい。
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空に棲む時間という名の深空魚。その体表から剥がれ落ちた文字が、ひとつ、またひとつ、結ばれあって雲となり、流れていく。雲が空に吸い込まれるたび、わたしの心にも小さな穴があく。それは、埋まるでもなく、ただそこにある。しんとして、触れることのできない、名のない穴。その宝物をなくしてしまうのがいやだ。理由を訊かれても、答える言葉が見つからない。ただ、そういうものだと思ってほしい。
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