《三月十三日》訴ふるすなはち睦むつぶ睦ぶこそ手た抱たきまながり婬たはれ姦たはくか
『古事記』の天あめの安やすの河か原わらでのすさのを・あまてらす相対しての宇気比うけひの段はどう読み解けばいいか。互いの持物アトリビュートを乞うて噛み砕き、吐き出す狭霧の中から男神・女神を産んだというのだから、姉弟二神の交接があり、これが追放の主因になったと解くのが自然ではなかろうか。
著者略歴
高橋睦郎(たかはし・むつお)
昭和12年12月15日、北九州八幡に生まれる。少年時代より詩、短歌、俳句、散文を併作。のち、新作能、狂言、淨瑠璃、オペラ臺本などを加へる傍ら、古典文藝、藝能の再見を続ける。
詩集『王国の構造』(藤村記念歴程賞)、句歌集『稽古飲食』(読売文学賞)、詩集『兎の庭』(高見順賞)、『旅の絵』(現代詩花椿賞)、『姉の島』(詩歌文学館賞)、『永遠まで』(現代詩人賞)、句集『十年』(蛇笏賞、俳句四季大賞)。
歌集に『道饗』、『爾比麻久良にひまくら』、『虚音集』、『待たな終末』、『狂はば如何に』など。 藝術院會員。2024年に文化勲章受章。 (Photo : Jorgen Axelvall)
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