
《五月十八日》その先は光も泣いて滝となり
ページは、まだ開かれていなかった。
彼女は表紙に目をやる。そこには「mizuk」と記されていた。正確には、そう読める構造のアルファベットの並びが、機械的に印刷されていた。それが語として発音されることを期待しているのか、それとも記号としてその場に固定されているのか、判断はつかない。名前としては、どこか醒めている。意味を主張しないが、視界には残る。そういう語だった。
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ページは、まだ開かれていなかった。
彼女は表紙に目をやる。そこには「mizuk」と記されていた。正確には、そう読める構造のアルファベットの並びが、機械的に印刷されていた。それが語として発音されることを期待しているのか、それとも記号としてその場に固定されているのか、判断はつかない。名前としては、どこか醒めている。意味を主張しないが、視界には残る。そういう語だった。
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