《七月七日》出欠表の端に死ぬ風ふととまる

自分で撮った写真を額に入れて、キッチンの壁に飾っている。
べつにその写真が気に入っているわけじゃない。
というか、まったく気に入っていない。
雑誌やSNSで見かけそうなポスターを自分の暮らしに取り入れるのが嫌で、こうしているだけだ。
それでも、しょっちゅう眺めてしまう。
「これが、わたしの人生の一ページなんだなあ」と思うと、不思議な気持ちになる。
他人事みたいで。

著者略歴

小津夜景(おづ・やけい)

1973北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』(第8回田中裕明賞)、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。

(ヘッダー写真:小津夜景)

 

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バックナンバー

  • 7月7日:出欠表の端に死ぬ風ふととまる
  • 7月6日:ジョイス読む蟷螂いつも逆さまに
  • 7月5日:風死してウディ・アレンの茹でた豆
  • 7月4日:フロイトの夢に蛾の影ひとつふえ
  • 7月3日:百足またボルヘスの書を這ふ夜かな
  • 7月2日:蚤を飼ふシェイクスピアの失恋記
  • 7月1日:打ち水や梁をくゆらし光の緒

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