
《七月八日》都市熱にゆれるテスラと蜘蛛の糸
日本の役所の人と電話で話した。大事な用だった。こちらも真剣で、メモなんかも用意して、準備万端のつもりだったのだが――話が始まって早々、「させていただく」と「おられる」と「のほう」が、ぐるぐる三回転して、何を言っているのか、まったくわからなくなった。
知らない香辛料を自己流で組み合わせて、ぐちゃぐちゃに混ぜたごはんを出されたような、そんな味の敬語だった。作ってる人はたぶん、「きちんとしてる」つもりなのだろう。でも、食べる人のことは考えていない。
もっと、日本語がシンプルになればいいのに、とそっと祈る。
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