《七月九日》残像の市やパパイヤ置き去られ

生まれつき、身体がつよくない。「もうだめかも」と思うようなときもあったけれど、武術に出会ってから人生が好転した。いまでは若い頃よりも、ずっと健康に暮らしている。なにか病気をするたびに運動で迎え撃つからだ。さいきんは毎日、三時間運動している。ちょっとまえまでは二時間だったのだが、いろいろあって一時間ふやした。運動していると、いつも思う。わたしは運動がめっちゃ好きだと。

著者略歴

小津夜景(おづ・やけい)

1973北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』(第8回田中裕明賞)、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。

(ヘッダー写真:小津夜景)

 

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バックナンバー

  • 7月9日:残像の市やパパイヤ置き去られ
  • 7月8日:都市熱にゆれるテスラと蜘蛛の糸
  • 7月7日:出欠表の端に死ぬ風ふととまる
  • 7月6日:ジョイス読む蟷螂いつも逆さまに
  • 7月5日:風死してウディ・アレンの茹でた豆
  • 7月4日:フロイトの夢に蛾の影ひとつふえ
  • 7月3日:百足またボルヘスの書を這ふ夜かな
  • 7月2日:蚤を飼ふシェイクスピアの失恋記
  • 7月1日:打ち水や梁をくゆらし光の緒

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