
《七月十八日》虹の果てバゲット抱けば乳母車
歩くとき、朗読を聴いている。これがなかなかいい。
本を読むというのは、案外むずかしい行為だ。座って開いたまではよくても、すぐに他のことを考えはじめてしまう。読むとは、本質的に「脱線」する行為なのかもしれない。
けれど歩きながら聴いていると、不思議と集中できる。身体が前に進むことで、言葉も自然と進んでいく。足を動かすたびに、段落が流れ、景色が変わる。読むことと歩くことには、どこか通じるリズムがある。
読むとは、流れに身を置くことなのだと思う。
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