
《十二月十三日》小春日の誰も読まない雑誌棚
カフェに入ったら雑誌棚があって、おお、まだこういうの置く店があるのかと感心した。ぱらぱら見てみると、なぜか猫の特集ばかりである。店の奥ではコーヒー豆を挽く音がしていて、これはまあ普通だが、手前の席の人が水だけ飲んで、するりと帰っていったのには驚いた。水だけ、である。そんな去り方をする人を、これまでの人生で見たことがない。なんだったのだろう。猫と水の店か。
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カフェに入ったら雑誌棚があって、おお、まだこういうの置く店があるのかと感心した。ぱらぱら見てみると、なぜか猫の特集ばかりである。店の奥ではコーヒー豆を挽く音がしていて、これはまあ普通だが、手前の席の人が水だけ飲んで、するりと帰っていったのには驚いた。水だけ、である。そんな去り方をする人を、これまでの人生で見たことがない。なんだったのだろう。猫と水の店か。
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