
《十二月十九日》着膨れて声のたまごを抱き歩く
ちなみに三十年前の出来事については以下の通り。
「ねえ乗ってかない?」と声がする。振り返ると、赤いダイハツ・ミラの窓から中年の男性が顔を出していた。が、その顔より先に目に飛び込んできたのがフロントガラスの縁のキティちゃん。数珠つなぎになってぶら下がり、風に煽られた小動物の群れのように震えていた。後部座席はさらに密度が高く、握り拳くらいのキティちゃんの頭部が座席全体にびっしりと貼りつけられてカタコンベなっていた。走って逃げた。
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ちなみに三十年前の出来事については以下の通り。
「ねえ乗ってかない?」と声がする。振り返ると、赤いダイハツ・ミラの窓から中年の男性が顔を出していた。が、その顔より先に目に飛び込んできたのがフロントガラスの縁のキティちゃん。数珠つなぎになってぶら下がり、風に煽られた小動物の群れのように震えていた。後部座席はさらに密度が高く、握り拳くらいのキティちゃんの頭部が座席全体にびっしりと貼りつけられてカタコンベなっていた。走って逃げた。
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