《一月六日》水仙や生々しくて抽象画

鴉が多い。我が家の前にゴミ集積場がある。カラス対策のボックスにゴミを入れるのだが、ボックスの網目から嘴をさしこんでゴミ袋を引きちぎり、中身を生々しく路上に散らす奴がいる。
昭和十五年一月六日の虚子句日記は「句謡会。鎌倉、香風園」。「香風園」は往年の老舗旅館。「水仙の花咲きたゞれ冬日濃し」という句が目を惹く。花弁や蕊が日を経て「咲きたゞれ」ている。生々しい「咲きたゞれ」にかぶせた「冬日濃し」が単純で力強い。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 1月7日:見下ろせばそそり立ちをり霜柱
  • 1月6日:水仙や生々しくて抽象画
  • 1月5日:室咲や司書の立居の気配なく
  • 1月4日:福笑ピカソの女とも違ふ
  • 1月3日:正月や映画に泣いて愚かなる
  • 1月2日:読初や在五業平愚かなる
  • 1月1日:初東風や車掌と車掌一礼す

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