《一月十八日》二三人焼藷買ふの買はぬのと

焼藷に憧れながら、蒸した紅あずまを食べる。
昭和六年一月十八日の虚子句日記は「銀座探勝会」。会場は「統制会社会議室」。「統制会社」は戦争遂行のための国策会社。「辞意ありて許されずして春を待つ」という句がある。虚子は、文学報国会の俳句部長を辞めたいと思っていたのだろうかと勘繰りたくなる。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 1月18日:二三人焼藷買ふの買はぬのと
  • 1月17日:遺構見る我と誰かと冬明るく
  • 1月16日:炉火楽し上へ上へとゆく煙
  • 1月15日:寒鴉扉外れしバスの上
  • 1月14日:どら焼と子どもの顔と春を待つ
  • 1月13日:雲遠く映りて甕に寒の水
  • 1月12日:坐ることなき冬帽の男かな
  • 1月11日:枯芝の松葉の向きのよく揃ふ
  • 1月10日:枯芝に枯木はうすき影をひき
  • 1月9日:寒禽や大きな鳥のただしづか
  • 1月8日:冬空の青きところを白き雲
  • 1月7日:見下ろせばそそり立ちをり霜柱
  • 1月6日:水仙や生々しくて抽象画
  • 1月5日:室咲や司書の立居の気配なく
  • 1月4日:福笑ピカソの女とも違ふ
  • 1月3日:正月や映画に泣いて愚かなる
  • 1月2日:読初や在五業平愚かなる
  • 1月1日:初東風や車掌と車掌一礼す

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