《三月十五日》キユーと鳴く子猫の耳の桔梗めく

高校生を対象とする「俳句賞25」の審査会。
昭和十五年三月十五日の虚子句日記は「家庭俳句会。柴又、川甚」「野を焼く火つけておいては歩き行く」。嘱目か席題かわからないが、柴又の風情に触発された野焼の句のように思われる。「つけておいては歩き行く」は「自」の句とも「他」の句とも見えて味わい深い。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 3月15日:キユーと鳴く子猫の耳の桔梗めく
  • 3月14日:風の日のものの白さや冴返る
  • 3月13日:そのかみの繭の港の猫の恋
  • 3月12日:永き日のバリカン上へ上へ刈る
  • 3月11日:たのしさは炎ちひさき春焚火
  • 3月10日:誰の絵に似て雲映る春の海
  • 3月9日:寄居虫の王道楽土わが前に
  • 3月8日:顔を吹く春風船具など鬻ぎ
  • 3月7日:沈みたる椿の花の上に蝌蚪
  • 3月6日:物干して港に住めるシヤボン玉
  • 3月5日:会館を駆くるモツプや風光る
  • 3月4日:猫にもの問ふもせんなし梅の花
  • 3月3日:すいと出でて何の茎立かと思ふ
  • 3月2日:腹減らぬままにもの食ふ春の雲
  • 3月1日:吾がための余寒の土筆摘みにけり

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