《三月二十日》人の子が蝌蚪を採りをり蝌蚪無数

信州方面に旅行。一茶記念館と善光寺。
昭和二十四年三月二十日の虚子句日記は「草樹会。大森、交実寮」「山吹の茎にちさき葉生れつゝ」。「小さき」を「ちさき」と読ませるとき、仮名書きにしているのが良い感じだ。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 3月20日:人の子が蝌蚪を採りをり蝌蚪無数
  • 3月19日:年寄の爪伸びてゐる日永かな
  • 3月18日:吸ふ傷の己が血甘き弥生かな
  • 3月17日:地虫出づ泣いてゐる子のいい匂ひ
  • 3月16日:缶プシュと春の夜道の女の子
  • 3月15日:キユーと鳴く子猫の耳の桔梗めく
  • 3月14日:風の日のものの白さや冴返る
  • 3月13日:そのかみの繭の港の猫の恋
  • 3月12日:永き日のバリカン上へ上へ刈る
  • 3月11日:たのしさは炎ちひさき春焚火
  • 3月10日:誰の絵に似て雲映る春の海
  • 3月9日:寄居虫の王道楽土わが前に
  • 3月8日:顔を吹く春風船具など鬻ぎ
  • 3月7日:沈みたる椿の花の上に蝌蚪
  • 3月6日:物干して港に住めるシヤボン玉
  • 3月5日:会館を駆くるモツプや風光る
  • 3月4日:猫にもの問ふもせんなし梅の花
  • 3月3日:すいと出でて何の茎立かと思ふ
  • 3月2日:腹減らぬままにもの食ふ春の雲
  • 3月1日:吾がための余寒の土筆摘みにけり

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