《五月十四日》緑蔭やくはへし飴の棒長く

晩酌の麦酒用のグラスが割れては減る。しかたなく子供用のウルトラマンのコップを使う。その最後の生き残りのウルトラセブンも割ってしまったので、ミッフィーちゃんのコップにヱビス麦酒を注ぐ。
昭和六年五月十四日の虚子句日記は「七宝会。葉山秋谷、畠山山荘にて」「春水の笹濁りして迸る」。同時作は「夏山に埋もれてゐる草屋かな」「茶を飲んで又夏山に対ひけり」。眼前の実景は夏だが、水だけは「春水」の趣なのだ。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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  • 5月14日:緑蔭やくはへし飴の棒長く
  • 5月13日:十字架は縦に長くて青嵐
  • 5月12日:卯の花の花粉黄色し人につく
  • 5月11日:山中や老いたるあやめ花を垂れ
  • 5月10日:白玉のつめたさ残る匙を置く
  • 5月9日:ふさふさの髪の毛見えて夏帽子
  • 5月8日:墓にふと捩り花あり雲明るく
  • 5月7日:ぽつねんと居るや西日に前を向き
  • 5月6日:夕虹やもやし炒めを火がつつみ
  • 5月5日:遠き木の古巣見えたり雲まれに
  • 5月4日:鐘鳴つて五時は明るき接木かな
  • 5月3日:石鹸玉ごみ食ふ鳩に幸あれと
  • 5月2日:鉄の柵錆びてぐらぐら百千鳥
  • 5月1日:素甘あり桜餅より大いなる

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