四六判変形フランス装 194頁 三首組 掌にのるくらいの小さな愛らしい本である。
著者の涌井ひろみさんは、1956年東京生まれ、東京都練馬区在住。女子高校で音楽をおしえておられる教諭である。本歌集は、
第1歌集『碧のしづく』(2018年刊)につぐ第2歌集となる。前歌集では、最愛のご主人を亡くされた哀しみの余韻のなかで編まれたものである。3年を経たいまもその哀しみは本歌集の底をしずかに流れていることに読者は気づかされるのである。ご主人のみならず涌井ひろみさんをとりまく大切な人々がすでにこの世から去っている。そうした人々は作者のなかではありありと生きていてその魂への呼びかけの歌集でもある。
本歌集の表紙をかざる題字は、前歌集と同じに二瓶里美氏、装画もまた前歌集と同じに石原葉子氏によるものである。
和兎さんがレイアウト、装幀。
グラシンに巻かれてあるので写真にとるとすこしぼけてしまうのだが、瀟洒な歌集である。
題字は金箔押し。
扉。
第1歌集と。