和田耕三郎句集『椿、椿』(つばき、つばき)。
四六判小口折表紙。 174頁
著者の和田耕三郎(わだ・こうざぶろう)さんは、1954(昭和29)年茨城県生れ、現在東京都墨田区在住。野澤節子・きくちつねこに師事し「蘭」同人。「蘭賞」「蘭同人賞」を受賞。現在は「OPUS(オーパス)」代表同人。本句集は
第4句集『青空』につぐ第5句集で、2007年から2016年まで9年間の作品をおさめる。前句集『青空』の「あとがき」に、2004年秋に脳腫瘍のため手術、翌年再発のため再手術を受けた結果、右半身に麻痺が残る状態となった。と書かれているように和田さんは闘病生活を続けられている。しかし、作句への情熱は衰えず俳誌「「OPUS」に作品を書き続けてこられたのだ。
本句集の装釘は、和兎さん。
句集名と和田耕三郎さんが本来的にもっている華やかさを赤で表現した。
赤の用紙に白のインクと白の箔押し。
タイトルと名前が箔押し。
背もタイトルと名前が箔押し。
椿の模様は白インクでの印刷だが、和兎さんはできるだけ透明感がでるように心がけだ。
表紙の折り返しの部分。こちらは表側。
本文用紙も白の用紙。
今回の製本は、無線綴じ製本でもかがり製本でもない。
PUR製本と呼ぶ、あたらしい製本技術のもとでの製本である。
本句集にて試みたのであるが、開きが素晴らしい。
赤をテーマカラーに、スマートにしかも品格をもって生まれた句集『椿、椿』である。
華やかさがお好きだった野澤節子先生が生きていらしたら「まあ、きれいね」と喜ばれたのではないだろうか。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/10/10より抜粋/Yamaoka Kimiko)