一九八一年の十二月の後援会の句稿の最初に「俳句はとどのつまり一句の中に確かな『もの』が描かれていることが一番強いのです。『大づかみ』な句をいくら作ってみても『徒労』に終ります」と爽波が書いている。徒労に終わっている句ばかり提出していたからだろう。このあたりから確かにものを描くということに気を配りだしたように思う。
●季語=鯨(冬)
著者略歴
山口昭男(やまぐち・あきお)
1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。
「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞)
『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
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