《十二月二十七日》耳打ににやりとしたる霙かな

本格的な冬には雪が積もった生家だったが、その前には霙。これが結構寒い。雪は寒いとは感じなかったが霙が降ると震えていた。ただ、雨から霙に変わって行く時に明るさに変化があると思った。急に暗くなるのだ。雨雲と霙雲は違うのだろうと納得していた。そろそろ初雪の季節に入ってゆく。この静けさも好きだ。

●季語=霙(冬)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

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バックナンバー

  • 12月27日:耳打ににやりとしたる霙かな
  • 12月26日:窓際のポインセチアの見あたらぬ
  • 12月25日:銭湯の銀の煙突クリスマス
  • 12月24日:雪吊の結目かたし縄やはし
  • 12月23日:揺籠の籐のつやめき枇杷の花
  • 12月22日:どこ座つても隙間風あるにはある
  • 12月21日:風景を消して見てゐる毛糸編
  • 12月20日:逆光を歩いて来るはインバネス
  • 12月19日:軍人の緑の服よ水洟よ
  • 12月18日:ぴつたりと闇のはりつく焚火かな
  • 12月17日:新聞のチラシを歩く冬の蠅
  • 12月16日:牡蠣船の灯りまみれとなつてをり
  • 12月15日:笑みたまる長須鯨の眦に
  • 12月14日:真白な和紙に天婦羅山眠る
  • 12月13日:枝先にたまる雨粒玉子酒
  • 12月12日:轟轟と火の音見せて焼藷屋
  • 12月11日:白菜を切りたる音の不敵なり
  • 12月10日:冬ざれや肌に泡ふくオキシフル
  • 12月9日:払つても払つても虫漱石忌
  • 12月8日:寒林を出て道の声舟の声
  • 12月7日:気がつけば君より白き息であり
  • 12月6日:ことごとく鏡に映る寒さかな
  • 12月5日:初雪のまことに空のにほひかな
  • 12月4日:鳰寝ねたる水を起こしたる
  • 12月3日:水鳥のまぶしきまでにふえてをり
  • 12月2日:顔見世へ橋一本を渡りゆく
  • 12月1日:梟の如く女を待つてゐる

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