《四月八日》虚子の忌のおたまじやくしに松の影

虚子忌。虚子は昭和三十四年三月三十日に倒れ、四月八日に逝去。命日が四月七日や九日ではなく花祭の八日だったのは、偶然を味方にする虚子の強運か。
昭和七年四月八日の虚子句日記は「草樹会。丸ビル集会室」「花篝燃ゆるが上に浮ける花」。篝は燃えるものに決まってはいるが、この句の「燃ゆる」は描写の言葉として働いている。「燃ゆる」があるから「浮ける」が生きるのだ。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 4月8日:虚子の忌のおたまじやくしに松の影
  • 4月7日:回る犬止まり糞まり春の暮
  • 4月6日:風車筆立にあり風が来る
  • 4月5日:行く馬が映るぬかるみ春の暮
  • 4月4日:雲を描き寄生木を描き鳥の巣も
  • 4月3日:ポスターの顔に雨粒諸葛菜
  • 4月2日:海澄んでをり陽炎に岸の草
  • 4月1日:うら若く春宵の金かぞへをり

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