《九月三日(火)》桂川を渡る電車ゆ母とわれ少女となりて遊びゐる見ゆ
京都市西京区に住んでいる叔母と会う。母の七歳下の妹。阪急電車に乗っていてふと目を上げたら、母の実家があった西京極駅を通過し、みるみる桂川を渡り、陸上自衛隊桂駐屯地の戦車が一瞬見えて過ぎていった。
著者略歴
大口玲子(おおぐち・りょうこ)
1969年東京都大田区生まれ。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第四十四回角川短歌賞受賞。
歌集に『海量』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』、『桜の木にのぼる人』、『ザベリオ』、『自由』、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』『神のパズル』がある。「心の花」会員。宮崎日日新聞「宮日文芸」短歌欄選者。牧水・短歌甲子園審査員。
無断転載・複製禁止