《十一月二十五日(月)》特別な宝がここにはあると言ふ崎濱神父何かは言はず
本河内の聖コルベ記念館で出会ったアメリカ人のミシェル。日系人の夫と子どもたちと旅行中の彼女が、聖コルベの御像やロザリオなど記念のみやげを買うのを手伝った。拙い英語で話し続ける私に彼女は「(英語で)日本人はすぐにスマホの翻訳機を使いたがるのにあなたは違った」と微笑んで「You are brave!」と言ってくれた。お互いの家族や信仰のことを短く話して、もう二度と会うことはないであろうミシェルとハグをして別れた。
著者略歴
大口玲子(おおぐち・りょうこ)
1969年東京都大田区生まれ。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第四十四回角川短歌賞受賞。
歌集に『海量』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』、『桜の木にのぼる人』、『ザベリオ』、『自由』、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』『神のパズル』がある。「心の花」会員。宮崎日日新聞「宮日文芸」短歌欄選者。牧水・短歌甲子園審査員。
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