《一月八日》あくがるる魂鎮めむと苦しめば家に在りつつ我は旅人
昨年二月末にはフランス国立ギメ東洋博物館の「源氏物語」展での講演のためパリに行った。宿の裏手がモンパルナス墓苑。ボオドレエルの墓を毎日訪ねた。「旅へのいざない」の詩人もまた彼方への旅にあくがれつつ、四十六年の生涯のほとんどをパリで過ごしている。
著者略歴
高橋睦郎(たかはし・むつお)
昭和12年12月15日、北九州八幡に生まれる。少年時代より詩、短歌、俳句、散文を併作。のち、新作能、狂言、淨瑠璃、オペラ臺本などを加へる傍ら、古典文藝、藝能の再見を続ける。
詩集『王国の構造』(藤村記念歴程賞)、句歌集『稽古飲食』(読売文学賞)、詩集『兎の庭』(高見順賞)、『旅の絵』(現代詩花椿賞)、『姉の島』(詩歌文学館賞)、『永遠まで』(現代詩人賞)、句集『十年』(蛇笏賞、俳句四季大賞)。
歌集に『道饗』、『爾比麻久良』、『虚音集』、『待たな終末』、『狂はば如何に』など。 藝術院會員。2024年に文化勲章受章。 (Photo : Jorgen Axelvall)
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