《一月六日》門松に旅路の砂が舞い残る

門松というものがある。斜めになった竹の切り口がすごくって、左右に黒松と赤松がぐいっと挿してあって、梅の枝や南天がちょこんと添えられ、土台は、藁を棕櫚縄なんかできゅっと締めてある。あれを見るたび、おおっ、北九州の新成人たちにそっくりだなと思う。刺繍やスパンコールがきらきら光って、ぐっとかぶいて、ちょっとぶきようで、ふっとまぶしい、そんないでたち。

著者略歴

小津夜景(おづ・やけい)

1973北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』(第8回田中裕明賞)、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。

(ヘッダー写真:小津夜景)

 

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バックナンバー

  • 1月8日:独楽已みて虚数の軸に宿る影
  • 1月7日:初風が未来のページくしゃくしゃに
  • 1月6日:門松に旅路の砂が舞い残る
  • 1月5日:初芝居幕上がるたび別の街
  • 1月4日:初馬卡龍金箔舌尖摩天楼
  • 1月3日:獅子舞の影が煙草をふかしてる
  • 1月2日:初夢のポケットにある贋の鍵
  • 1月1日:初日の出瓦礫の街に風が吹く

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