《二月一日》淸けきか淸けく非ずいとせめて歌つくる間は淸けくをあらな

なぜか二月は一年十二箇月のうち最も清い月という気がする。冬が極まり、極寒のうちに春が訪れるからか。わが国上代に中国中原の季節感を基にしたかいの暦を、制度として無理に採り入れた結果だが、そのせいで不浄の身が自覚できるとすれば、怪我の功名か。

著者略歴

高橋睦郎(たかはし・むつお)

昭和12年12月15日、北九州八幡に生まれる。少年時代より詩、短歌、俳句、散文を併作。のち、新作能、狂言、淨瑠璃、オペラ臺本などを加へる傍ら、古典文藝、藝能の再見を続ける。 詩集『王国の構造』(藤村記念歴程賞)、句歌集『稽古飲食』(読売文学賞)、詩集『兎の庭』(高見順賞)、『旅の絵』(現代詩花椿賞)、『姉の島』(詩歌文学館賞)、『永遠まで』(現代詩人賞)、句集『十年』(蛇笏賞、俳句四季大賞)。 歌集に『道饗』、『爾比麻久良にひまくら』、『虚音集』、『待たな終末』、『狂はば如何に』など。 藝術院會員。2024年に文化勲章受章。 (Photo : Jorgen Axelvall)

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 2月1日:淸けきか淸けく非ずいとせめて歌つくる間は淸けくをあらな

俳句結社紹介

Twitter