
《四月二十八日》掃き寄せし灰の中にも花林檎
夜の名残りが、砂のうねりにひっそりと触れていた。
音はない。風もない。けれど何かが、もうひとつの層のなかで、砂粒よりもさらに小さく動いている。空はまだ明けていない。けれど、かといって完全な夜でもない。色と呼ぶにはあまりに曖昧な濃度が、遠くのほうに折りたたまれている。
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夜の名残りが、砂のうねりにひっそりと触れていた。
音はない。風もない。けれど何かが、もうひとつの層のなかで、砂粒よりもさらに小さく動いている。空はまだ明けていない。けれど、かといって完全な夜でもない。色と呼ぶにはあまりに曖昧な濃度が、遠くのほうに折りたたまれている。
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