
《四月二十九日》海棠の門灯だけが知る一夜
空は高くない。というか、のしかかってきている。地面との距離がよくわからない。砂の表面はぬれていないけれど、靴底がわずかに沈む。歩くには、あまり向かない時間帯だ。身体の位置が空気の中でぐらついて、呼吸の形だけが、少しずつ決まっていく。
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空は高くない。というか、のしかかってきている。地面との距離がよくわからない。砂の表面はぬれていないけれど、靴底がわずかに沈む。歩くには、あまり向かない時間帯だ。身体の位置が空気の中でぐらついて、呼吸の形だけが、少しずつ決まっていく。
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