
《五月二十九日》ヨット残す夕日の声のあとさきに
記憶ではない。もっと手前にある。言葉が記憶になろうとする、その直前のうすぼんやりとした揺れ。言葉がそこに向かおうとしている、その途中。うっすらと形を求めているが、まだ輪郭を持っていない。それでいて、ないとは言えない。湯気みたいなもの。ただし、ちょっと重たくて、白くもない。
無断転載・複製禁止
記憶ではない。もっと手前にある。言葉が記憶になろうとする、その直前のうすぼんやりとした揺れ。言葉がそこに向かおうとしている、その途中。うっすらと形を求めているが、まだ輪郭を持っていない。それでいて、ないとは言えない。湯気みたいなもの。ただし、ちょっと重たくて、白くもない。
無断転載・複製禁止