
《六月十一日》失せものの香をたどるや夏座敷
――へえ
ふいに聞こえた。声ではない。文字でもない。ただmizukのページがわずかにふくらんだだけだった。それがしゃべったような、いやおしゃべりよりもずっとやさしい異物感を奏でた。思わず「うん」と小さく言った。
無断転載・複製禁止
――へえ
ふいに聞こえた。声ではない。文字でもない。ただmizukのページがわずかにふくらんだだけだった。それがしゃべったような、いやおしゃべりよりもずっとやさしい異物感を奏でた。思わず「うん」と小さく言った。
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