《十月十三日》声隊ルー鯊のひれにもふれにけり

お出かけのとき用に、夫が自動水やり器をつくってくれた。チューブをちょきちょき切って、T字管で輪をつくり、ノズルを差し込み、既製品のソーラー自動灌水器にとりつける。ウォータータンクはキャプテンスタッグの二十リットルのものを二個並べた。これで安心して外泊ができる。庭に置くとちいさな実験装置のようで、見るたびにうれしい。

著者略歴

小津夜景(おづ・やけい)

1973北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』(第8回田中裕明賞)、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。

(ヘッダー写真:小津夜景)

 

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バックナンバー

  • 10月13日:声隊ルー鯊のひれにもふれにけり
  • 10月12日:ヴォを呼べば花野は翳のままひろし
  • 10月11日:萩の雨こゑのたましいをかすめる
  • 10月10日:笑ひだす甕のひとくれ鮭颪
  • 10月9日:仮面だけ秋祭りからもどらない
  • 10月8日:こゑが壁ぬけてゆく絵の鈴鹿かな
  • 10月7日:美術展ガラスの笛を抱く子かな
  • 10月6日:糸ひらめく秋の書のいまこの頁
  • 10月5日:虫売のこゑに壊れてしまひけり
  • 10月4日:触角だけでつづられる遠い便り
  • 10月3日:松茸飯塔のひざまで夜が来る
  • 10月2日:鵙啼いて水は過去形になりぬ
  • 10月1日:木犀やお帰りの手は濡れたまま

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