《六月十一日》はつたいの湯気かすかなり四方に山

人間ドックを受診。
昭和九年六月十一日の虚子句日記は「笹鳴会。丸ビル集会室」「蝙蝠や原蒲原は間の宿」。「間の宿」とは、繁華な宿場町の間にある小さな町か。町の空に舞う蝙蝠を見ながら「原」も「蒲原」もそういう町だと思っている。取り合せとしても「蝙蝠」に鄙びた感じがある。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 6月11日:はつたいの湯気かすかなり四方に山
  • 6月10日:絡み合ひながら真夏へ真葛ども
  • 6月9日:深く澄んで清水のごとし石牡丹
  • 6月8日:サイダーを注ぎ分けてただ老いてゆく
  • 6月7日:海見ゆる窓にいくつも蝸牛
  • 6月6日:まづしげな氷河の絵ありソーダ水
  • 6月5日:二の腕の蠅こそばゆき昼寝かな
  • 6月4日:脚三つ持てる大きな扇風機
  • 6月3日:花屋の薔薇八百屋のバナナ大西日
  • 6月2日:押し来るや頭分厚き黄金虫
  • 6月1日:よき稚児や木魚大きく涼しげに

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