《八月六日》夕空の暗さを蠅の眼かな

巌谷小波の句集を読む。
昭和二十二年八月六日の虚子句日記は「稽古会、第三日」「縁を打つ簾の裾の綻びし」。疎開し、終戦後も小諸にとどまっていた虚子。虚子庵で稽古会の句会を重ねている。垂らした簾が風に吹かれて縁側に当たっている。幾度も縁を打つ簾を見ると、その裾が綻びていた。見た通りにきっちりと描写する手本のような句だ。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 8月6日:夕空の暗さを蠅の眼かな
  • 8月5日:この町の朝の片陰登庁す
  • 8月4日:日盛や土に影して軒簾
  • 8月3日:雲うすうす避暑の子どもら匙つかふ
  • 8月2日:終点の町や頭上の雲の峰
  • 8月1日:橋をゆく日除下げたる冷房車

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