2024.12.21 愛はいつまでも残るから 死を以てつぐなひきれぬ罪を思へり
2024.12.20 宮崎で生まれたやうな顔をして階段のぼり杉の香を吸ふ
2024.12.19 あらゆる手を尽くして声を上げること冬越えてゆく鵙の鋭さ
2024.12.18 二倍速の動画のやうに次々にムクドリかへりくる楠並木
2024.12.17 母を思ひ車窓より見上げたる空のあを牧水の空のかなしさ
2024.12.16 犬連れて夜をどこまでも歩きたりし母とわれとの記憶の散歩
2024.12.15 あの人が洗礼者ヨハネだつたのか今にして思ふその指示の機微
2024.12.14 書くために南京へ行き漢口を見たりし芙美子の昂揚のうねり
2024.12.13 国境を知らずしきりに降る雪を共有しつつ隣り合ふ国
2024.12.12 猫抱いて冬の夜を眠るさいはひを知らずのびのびひとりの眠り
2024.12.11 ゆるさざりしことのいくつかあきらかにあれば冷たき水を飲みほす
2024.12.10 霧島山見つつ来て山に腰掛ける弥五郎どんに会はずに帰る