2026.3.26 サイレンの出迎へに返礼をして空から戦を始めるのだらう
2026.3.25 暗い海がざざざと乗り込んできて砂粒は戦を見上げるだらう
2026.3.24 珈琲豆アフリカンムーンを挽く日暮れ 涙なき星がまた光りだす
2026.3.23 病院の会計に並ぶ車椅子 義肢の人が済み母の進みぬ
2026.3.22 鮟鱇の卵巣を食ひ肝を食ふ 赤いポンプのやうなわたしは
2026.3.21 三月のスキー場でスープを飲んでゐた 殺される桃井かおりを思ひ
2026.3.20 金太郎を知らない牛が分けてくれた足柄山の「きんたろう牛乳」
2026.3.19 能面の姥は目を閉ぢ泣いてゐる荒き月面に彫られしやうに
2026.3.18 化身とはなにかを補ふものなるか雨は降りつつ太陽を恋ふ
2026.3.17 難陀龍王持つ水盤に白狐ゐて森羅は深く深くまじりあふ
2026.3.16 腹筋が少しついたか自らのちからで春のスカーフ取る母
2026.3.15 スーパーのにほひが冷気に乗りてくるギャン泣きをする犬の前にも