2026.3.11 祈るとき一本の樹が身に生えぬ空から鐘の声は降りつつ
2026.3.10 自販機に百円の水を見つけたり荒野の人のごとく笑み湧く
2026.3.9 両脇を少し開きて書くときに川の字の線が少し生きてくる
2026.3.8 柿色に灯るサウナに目を閉ぢるぽたぽたと感情は汗となりつつ
2026.3.7 枯れ芦のすきまに見ゆるただ者ではなき白さ 鷺あゆみそむ
2026.3.6 雷は兵器、雷はいかづち 人類は黒き魚型を作りやまずも
2026.3.5 雨吸ひてまた乾きゆく枯草のにほひに春をはじめる野川
2026.3.4 パスワードに混ぜる小文字のアルファベット忘れやすきよ芋虫月かかる
2026.3.3 帰りきて雛人形の前に座し呑みゐし父の広き背おもふ
2026.3.2 種つくり皮と実つくり包みたりまつすぐな人の手に菓子は生る
2026.3.1 発光のごとくラジオ体操の音がしてゐる公園の奥