2024.12.10 霧島山見つつ来て山に腰掛ける弥五郎どんに会はずに帰る
2024.12.9 血を流すことなく抗ひ得るものか見なかつた知らなかつたと声は
2024.12.8 渇きつつ待つことの恵みはろばろと息子にとつての荒れ野は在らむ
2024.12.7 化粧して長崎駅に降り立てばしんと静かな母親となる
2024.12.6 向けられた銃をつかみたるその女の度胸ではなく知性を思ふ
2024.12.5 長崎に息子眠りてわれも眠り戒厳令の夜を降る雪
2024.12.4 日曜の聖書朗読当番を忘れたる夢に蟹は走れる
2024.12.3 風に心をひるがへしつつ宣教のために立ちたるいくつの港
2024.12.2 国と国との約束を綴ぢし朱の封蝋に人の指先は見ゆ
2024.12.1 五時半に起きて祈れる子を思ひ冬の朝の窓を開けたり