2026.9.10 午前二時ひたひたと闇と雨が降る青松虫のこゑもおさまる
2026.9.9 屋根を打つどしや降りの音に土砂の字を何度も思ひし父の葬儀の日
2026.9.8 秋の水のせ始めたる露草の青き花びらも溶けゆくごとし
2026.9.7 上水のほとりに朝は蟬が鳴きゆふべは地の虫に譲りてゐるらし
2026.9.6 小雨が寄り緑葉が寄るガラス窓 羅漢のやうに歌会につどふ
2026.9.5 つづれさせきりはたりちやうと呼んでゐる帯に織られし秋の虫たち
2026.9.4 縮れたる百日紅の花ころがりて曇りゆくなり父逝きし日よ
2026.9.3 ちよつとした空気の先に現れぬ突発といふ透明な貌
2026.9.2 新しきレンガの壁に移されし老婦人のごときステンドグラス
2026.9.1 この世、現世、前世、来世の頻出すわれも用ひて吾亦紅羞し