2026.3.14 黄の泡でからだの中を満たしたら ミモザ咲く道またの春まで
2026.3.13 降る雪に混じりて忘れられてゆく綿毛や羽毛、われらの吐く息
2026.3.12 夜道ゆく車のライトに光り出す春日野の鹿のみどりの眼
2026.3.11 祈るとき一本の樹が身に生えぬ空から鐘の声は降りつつ
2026.3.10 自販機に百円の水を見つけたり荒野の人のごとく笑み湧く
2026.3.9 両脇を少し開きて書くときに川の字の線が少し生きてくる
2026.3.8 柿色に灯るサウナに目を閉ぢるぽたぽたと感情は汗となりつつ
2026.3.7 枯れ芦のすきまに見ゆるただ者ではなき白さ 鷺あゆみそむ
2026.3.6 雷は兵器、雷はいかづち 人類は黒き魚型を作りやまずも
2026.3.5 雨吸ひてまた乾きゆく枯草のにほひに春をはじめる野川
2026.3.4 パスワードに混ぜる小文字のアルファベット忘れやすきよ芋虫月かかる
2026.3.3 帰りきて雛人形の前に座し呑みゐし父の広き背おもふ