
《六月十三日》腕のかたちをなぞりつつ蛇とゐる
「測った人がいるの?」
──いました。名前はもう思い出せません。重力に呑まれたんでしょうね。
彼女はまた本をひらいた。白いページに染みがある。じっと見ていたら、すこし動いたような気がした。気のせいかもしれない。でも、しばらく見ていた。
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「測った人がいるの?」
──いました。名前はもう思い出せません。重力に呑まれたんでしょうね。
彼女はまた本をひらいた。白いページに染みがある。じっと見ていたら、すこし動いたような気がした。気のせいかもしれない。でも、しばらく見ていた。
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