渡辺鮎太句集『蟇』(ひき)
四六判ハードカバー装 100頁 二句組 初句索引付き
渡辺鮎太(わたなべ・あゆた)さんの第3句集である。
第1句集『鮎』(1991刊)、
第2句集『十一月』(1998年刊)ともにふらんす堂より上梓されている。 渡辺鮎太さんは、1953年埼玉・川口市生まれ、現在は草加市在住。1980年「沖」入会、1985年「沖」同人、1987年「門」創刊に同人として参加。1998年、第2句集『十一月』にて「中新田俳句大賞」を受賞。昨年に久しぶりにお電話をいただき、この度の句集上梓となった。23年ぶりである。20代から俳句をはじめ、第1句集『鮎』に寄せた鈴木鷹夫氏の序文では「
その類い稀な詩質を以て『門』の一隅を照らす恒星的存在」といわしめた俳人である。どうされているのだろうと折にふれて思っていたのだが、俳句はずっと続けられていたということをうかがって嬉しい思いがしたのだった。もとより巧い俳人である。今回の句集は句数を厳選しての第3句集となった。栞を摘里葦彦氏が寄せている。
本句集の装幀は、渡辺鮎太さんの希望を、君嶋真理子さんが具体化させたもの。
だから、鮎太さんの自装と言っていいかもしれない。
いろいろとこだわりがおありで、すみずみまで鮎太さんの意匠によるものだ。
用紙、クロス、すべて外回りに用いたものは光沢のあるものであるが、それが決して派手にならず落ち着きとある暗さ(?)を纏っている。
不思議である。
それが味わいとなって、いい本となったのではないだろうか。