竹岡一郎句集『けものの苗』(けもののなえ)。

四六判コデックス装。 218頁
コデックス装の造本である。
「けものの苗」という句集名であるが、「苗」とは通常植物について言うものである。けものとは四足動物のこと、しかし、タイトルは「けものの苗」句集名にしてすでに竹岡さんの鮮烈なイメージの飛躍がある。本句集にはたくさんのけものをはじめ生物が登場する。それらの生き物たちが消しゴム判子の作品となってたいへん可愛らしくあちこちの頁にいるのである。この本の表紙をかざっているのもそのひとつ。まるで「けものの苗」みたいでしょ。こんなふうにときどき姿をみせる生き物たちが、この句集をわたしたちに馴染みやすいものにしている。そして頁を開いていくのが楽しくなる。
本句集は15の見出しによって構成されていてそこにそれぞれ消しゴムハンコの生き物たちがいて、その見出しとの絶妙な関係を保っている。
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可愛いでしょ。
どれも思わずにっこりとしてしまう。
本句集の装幀は和兎さん。
愛らしい消しゴム判子すべて、竹岡一郎さんのご息女である竹岡瞳さんの作である。
一つ一つに瞳さんのセンスが光っている。

造本はコデックス装。
一度試みたいと思っていた造本である。
開きがすばらしくよい。
そしてかがり糸のオレンジがみえるところもいい。


背丁をあえて見せる製本である。

かがりの糸にオレンジ色をまぜた。

ラベルを印刷してうしろまでまわす。


表紙の裏もオレンジ色に印刷。
見返しは鮮やかな青。

扉。

後ろ側は、見返しをオレンジ色に。
表紙は青で印刷。

青とオレンジの色合いが華やかで美しい。


これ一番すきな判子の挿画である。
(ふらんす堂「編集日記」2018/11/2より抜粋/Yamaoka Kimiko)