中原道夫『一夜劇』(いちやげき)。
菊判正寸ハードカバー装。276頁。
俳人中原道夫さんの第12句集となる。正漢字表記を採用。句集名「一夜劇」は、
蠅帳の中より匂ふ一夜劇
に拠るが、それはまた2015年の11月におこったパリ同時多発テロの一夜の出来事にも敷衍されている。というかほぼそちらに収斂していく。
句集『一夜劇』は、間村俊一さんの装丁である。
中原さんの句集はこれまで間村さんの装丁によるものが多い。
中原道夫という濃密にして重厚な存在感と間村さんの装丁はよく響きあっている。
菊判というやや大きめのサイズであるが、幅をやく10ミリカットしてある。
このカバーに用いられている写真は間村さんが撮ったものである。
表紙は赤。
文字は黒メタル箔。
材質の粗い布クロスである。
平面は型押し。
見返しは黒のラシャ紙。
扉の前には遊び紙を一枚いれる。
(この遊び紙の選び方が、間村さんは絶妙である)
花ぎれと栞紐は、赤。
ドラマティックな不穏さを秘めながら「一夜劇」は世に生み出された。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/11/28より抜粋/Yamaoka Kimiko)