『国立小曲』は、俳句、短歌、詩を収録した詩歌集である。
著者のゐどかやとさんは、1949年山梨県八幡村生れ。現在東京・昭島市に在住。集名の「国立小曲」の国立はおもに武蔵野を詩歌作りの拠点にされている所以だろうか。
本書は四六判ではあるかサイドをカットしてほっそりとした製本に仕上げた。ゐどかやとさんのご希望である。
活字を小さくして、余白をいかし、俳句、短歌、詩の三つのジャンルの作品が収録されているにもかかわらずたいへんすっきりした一冊となった。
「雪を丸めて」と題された句集の扉である。
歌集「浮かぶ禿頭」の扉。
詩の作品の扉。
ゐどかやとさんの詩歌集への造本の思いを具体化するべく助けたのは、装丁家の君嶋真理子さんである。
バクラムという紙クロス表紙に、黒メタル箔と型押しのみの垢ぬけたデザインである。
臙脂色はわたしのおすすめ。
この薄さがいい。
見返しは羊皮紙。
扉。
栞紐はグレー。
花布は、黒。
ボールはチケン紙をもちいて思いきり薄くした。
スマートでシンプルでモダンな一冊となった。
ゐどかやとさんはさきほどボヘミアン的であると書いたが、あえていえば都会派知的ボヘミアンである。
だから「国立小曲」という集名がよく似合う。
新しきスニーカーを履き軽やかに駅へと向かふ今日何処へゆく
思わず笑ってしまった。
まさにボヘミアン足りうる人である。
束縛から自由な風のような人だ。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/11/22より抜粋/Yamaoka Kimiko)