寒卵2017.4.1

 

吉田嘉太郎(よしだ・よしたろう)句集『寒卵』。

 

吉田嘉太郎句集『寒卵』

四六判変形フランス装カバー装。280頁。

 
本句集は平成10年から19年までの作品を収録した第1句集である。
 
本書は、ご本人さまとのご縁によって本書の装丁を装釘家の名久井直子さんが手がけられた。
ゆえにとても素敵な出来上がりとなった。
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
 
タイトルとお名前は墨刷りであるが、そのほかの模様とラインはすべてホットスタンプというカラ押しである。
ブルーグレーのように見えるのは表紙の青が透けてみえるからである。
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
この用紙はこれまでふらんす堂も何度か用いてホットスタンプをしてきたが、まったく新しいものを見るような新鮮さがある。
 
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
カバーを表紙から外したところ。
箔押しをしたところが透明度をましている。
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
フランス装の表紙。
頁数は多いのだが、やや細身の変形によってスマートに仕上がった。
 
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
文字は銀刷り。
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
見返しは白。
 
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
扉は見返しと同じ用紙をもちいた二色刷り。
 
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
厚めの本だと天アンカットが効果的だ。
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
栞紐は臙脂。
(この紺と臙脂の組み合わせはもっともわたしの好きな色である。)
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
 
吉田嘉太郎句集『寒卵』
 
 
いつまでもずっと見ていたい、そんな一冊である。
シンプルな色使いであるが、本として格がある。

吉田嘉太郎さんにはお目にかかったことがないが、きっとこの本のように知的で清潔で上品なお方なのだとわたしは思ったのだった。

 
名久井直子さんは、紙の特性やインクの色使いなどに精通されている装釘家であることは言うまでもなく、きっと魔法の力をもった装釘家である。
 
(ふらんす堂「編集日記」2017/3/27より抜粋/Yamaoka Kimiko)
 
 

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