吉田嘉太郎(よしだ・よしたろう)句集『寒卵』。
四六判変形フランス装カバー装。280頁。
本句集は平成10年から19年までの作品を収録した第1句集である。
本書は、ご本人さまとのご縁によって本書の装丁を装釘家の名久井直子さんが手がけられた。
ゆえにとても素敵な出来上がりとなった。
タイトルとお名前は墨刷りであるが、そのほかの模様とラインはすべてホットスタンプというカラ押しである。
ブルーグレーのように見えるのは表紙の青が透けてみえるからである。
この用紙はこれまでふらんす堂も何度か用いてホットスタンプをしてきたが、まったく新しいものを見るような新鮮さがある。
カバーを表紙から外したところ。
箔押しをしたところが透明度をましている。
フランス装の表紙。
頁数は多いのだが、やや細身の変形によってスマートに仕上がった。
見返しは白。
扉は見返しと同じ用紙をもちいた二色刷り。
栞紐は臙脂。
(この紺と臙脂の組み合わせはもっともわたしの好きな色である。)
いつまでもずっと見ていたい、そんな一冊である。
シンプルな色使いであるが、本として格がある。
吉田嘉太郎さんにはお目にかかったことがないが、きっとこの本のように知的で清潔で上品なお方なのだとわたしは思ったのだった。
名久井直子さんは、紙の特性やインクの色使いなどに精通されている装釘家であることは言うまでもなく、きっと魔法の力をもった装釘家である。
(ふらんす堂「
編集日記」2017/3/27より抜粋/Yamaoka Kimiko)