渡辺鮎太『蕉門の人々――その発句と生涯』

四六判ソフトカバー装帯あり 104頁
作者の渡辺鮎太(わたなべ・あゆた)さんは、すこし前にふらんす堂から
第3句集『蟇』を上梓された俳人である。
この度は、いままで書き溜めていた芭蕉の弟子たちについての論考を一冊にして上梓された。
14人の芭蕉の主だった弟子たちが登場する。頁数も多くなく、ゆったりと組まれているものでたいへん読みやすい。弟子たちひとりひとりについて、その作品を評しながら端的にまとめておられるので、芭蕉の弟子について知るための入門書となるものだと思う。しかも、実作者のひとりとしてその俳句態度への言及があり、なかなか手厳しい批判もあってそれぞれの代表句や人間性がきわだつ一冊だ。

すっきりした一冊となった。





男性の本に紫を基調とすることは、これまでの経験上あまりないのであるが、今回の場合、それがおしゃれでこの紫は渡辺鮎太さんによく合っている。




(ふらんす堂「編集日記」2021/8/23より抜粋/Yamaoka Kimiko)