百の蝶2016.11.15

 

 
高浦銘子句集『百の蝶』(ひゃくのちょう)
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
四六判仮フランス装カバー装 214頁
 
 
著者の高浦銘子(たかうら・めいこ)さんは、1960年千葉県生れ、現在は川崎市在住。1983年に東京白搭会にて山口青邨、黒田杏子の指導の下俳句を始める。1990年第2回ラ・メール賞受賞、「藍生」創刊より参加。1997年第3回藍生賞受賞。「藍生」(黒田杏子主宰)会員。本句集は前句集『水の記憶』に次ぐ第3句集となる。2001年から2016年までの作品を収録。栞はおなじく「藍生」会員の高田正子さんが寄せている。
 
 
本句集の装幀は君嶋真理子さん。
著者の高浦銘子さんのおおいなるこだわりによって、美しい一冊が出来上がった。
 
 
 
淡いピンク色の本である。
このピンクの用紙に押したパール箔がなんとも美しい。
ピンクの本を希望されたのは高浦銘子さん。
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
ピンクという色はたいへん難しい。どうしても幼くなってしまう。
そこで見つけたのがNTラシャのパールピンクである。
この色と用紙はわたしも大好きなもの。
高浦さんは気に入ってくださった。
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
 
アールヌーボの模様を裏と表に配して、そこにパール箔を押した。
これが思った以上に美しく仕上がったのである。
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
帯は白。
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
 
見返しと同じ用紙である。
栞はカバーと同じ用紙。
栞の刷り色はカバーと同じ刷り色。
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
表紙は仮フランス装。
用紙は、帯と見返しと同じもの。
刷り色は帯と同じ刷り色。極力刷り色を統一し、一体感を出した。
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
柔らかな仕上がりである。
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
にもピンクの用紙をつかったがこちらは光沢あるもの。
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
花布は白。
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
本文もできるだけ繊細に。本文用紙もピンク味のあるもの。
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
 
高浦銘子句集『百の蝶』
 
 
箔押しの美しさが際だった気高い一冊となった。
パール箔の透明感は、この句集の作品がもつ上質な透明感とよく合っている。
 
この淡いピンク色の用紙は、残念ながら廃版となってしまうということ。
この用紙をこれほど美しく用いた本は他にないのではないか、と思う。
 
 
(ふらんす堂「編集日記」2016/11/11より抜粋/Yamaoka Kimiko)
 

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