四六判仮フランス装カバー装 214頁
著者の高浦銘子(たかうら・めいこ)さんは、1960年千葉県生れ、現在は川崎市在住。1983年に東京白搭会にて山口青邨、黒田杏子の指導の下俳句を始める。1990年第2回ラ・メール賞受賞、「藍生」創刊より参加。1997年第3回藍生賞受賞。「藍生」(黒田杏子主宰)会員。本句集は
前句集『水の記憶』に次ぐ第3句集となる。2001年から2016年までの作品を収録。栞はおなじく「藍生」会員の高田正子さんが寄せている。
本句集の装幀は君嶋真理子さん。
著者の高浦銘子さんのおおいなるこだわりによって、美しい一冊が出来上がった。
淡いピンク色の本である。
このピンクの用紙に押したパール箔がなんとも美しい。
ピンクの本を希望されたのは高浦銘子さん。
ピンクという色はたいへん難しい。どうしても幼くなってしまう。
そこで見つけたのがNTラシャのパールピンクである。
この色と用紙はわたしも大好きなもの。
高浦さんは気に入ってくださった。
アールヌーボの模様を裏と表に配して、そこにパール箔を押した。
これが思った以上に美しく仕上がったのである。
帯は白。
見返しと同じ用紙である。
栞はカバーと同じ用紙。
栞の刷り色はカバーと同じ刷り色。
表紙は仮フランス装。
用紙は、帯と見返しと同じもの。
刷り色は帯と同じ刷り色。極力刷り色を統一し、一体感を出した。
柔らかな仕上がりである。
にもピンクの用紙をつかったがこちらは光沢あるもの。
本文もできるだけ繊細に。本文用紙もピンク味のあるもの。
箔押しの美しさが際だった気高い一冊となった。
パール箔の透明感は、この句集の作品がもつ上質な透明感とよく合っている。
この淡いピンク色の用紙は、残念ながら廃版となってしまうということ。
この用紙をこれほど美しく用いた本は他にないのではないか、と思う。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/11/11より抜粋/Yamaoka Kimiko)