小津夜景句集『フラワーズ・カンフー』
四六判ソフトカバー装。160頁
小津夜景(おづ・やけい)さんは、1973年北海道生れ、現在は南フランスにお住まいである。
本句集は、句集と銘打っているが、句集というジャンルに括ってしまいたくないような、たしかに俳句が中心であるが、詩的言語によって綴られた良質な書物と言ってもいいのではないか。ところどころにちりばめられた散文も面白い。
一般的な句集のスタイルになれた人たちにとっては、本書はその俳句も含めて極めて刺戟的である。
わたしなどは、これまでの句集を読むときの脳細胞とは別の領域に気持のよい刺戟をもらいながら読み進んだ。やや難解で理解しきれないときは前頭葉あたりがむずむずした。こんな言い方でわかるかしら。
小津夜景さんという俳人の登場が、若い俳人たちを中心におおいに人気があるというのもうなづける作品群である。
最初に二句がおかれ、四句組でつづき、最後はふたたび二句で終る。活字の書体もこだわりがあって本句集のためにフォントを新しく購入したのだった。
本句集の装幀は和兎さんであるが、著者の思いをつよく反映したものとなった。
装画は、小津さんのご希望で「しおたまこ」さんにお願いした。
若々しい句集である。
見返しと帯はオレンジ色。同じ用紙である。
扉。
南フランスにお住まいの著者からとどけられた一冊。
俳句の風土が新しい風をくぐりぬけてきた。
読み物として楽しい一冊であるが、俳句をつくる人間には楽しい刺戟をあたえてくれる句集である。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/11/08より抜粋/Yamaoka Kimiko)